2020年にコロナ禍に対峙しようとしてご協力を得て始めた【みんなde読書】ですが、私自身の怠慢により、昨年は2記事しかあげられませんで、申し訳ございませんでした。 感想記事をあげたいと思う本をきっちり読むという作業もサボっていたので、本当に申し訳…
ハンカチの上の花畑 (日本の創作児童文学選)作者:安房 直子あかね書房Amazonこんにちは。 私は安房直子さんの『ハンカチの上の花畑』について、少し書いてみたいと思います。発酵の働きが、小人に置き換えられていたり、欲望が徐々に膨らみを増す、100ページ…
新しく【みんなde読書】に参加してくださる執筆者さん、PlanetHandのやしまさんの紹介です。 小さな宇宙を感じさせるPlanetHand店内2021年11月下旬友人が、児童文学作家安房直子さんの作品にちなんだ雑貨の展示・販売会があり、それに参加すると教えてくれた…
父ガルシア=マルケスの思い出-さようなら、ガボとメルセデス (単行本)作者:ロドリゴ・ガルシア中央公論新社Amazonこの本はタイトルで解るとおり、ラテンアメリカ文学を代表する偉大な作家ガルシア=マルケスの臨終前後を記した本である。書いたのはその長子…
おばあちゃん、青い自転車で世界に出逢う作者:ガブリ・ローデナス小学館Amazon 冒頭、こうはじめる。 『幸せな子供時代を過ごし、これといってトラウマもなければ、さいわい重い病にもかかったこともなく、なに不自由のない人生だったと思うのに、ときどきふ…
光草(ストラリスコ) (Y.A.Books)作者:ロベルト ピウミーニ小峰書店Amazon今回紹介する本も児童文学作品ではあるけれど、私自身も何度も読んでいるお気に入りの小説で、とても想像力をかき立てられる物語なのです。文中、現代では不適切な表現が出てくるとこ…
清少納言を求めて、フィンランドから京都へ作者:ミア・カンキマキ草思社Amazonこの本はタイトル通り、一人のフィンランド女性が平安時代の女性作家である清少納言の足跡をたどるために日本にやってきて過ごした日々のエッセイである。 今風のラノベのタイト…
夢見る人作者:ライアン,パム・ムニョス岩波書店Amazon ラテンアメリカの文化を伝えるすぐれた児童書に贈られるプーラ・ベルプレ賞を受賞(2011年)した本作品は、メキシコ系アメリカ人パム・ムニョス・ライアンによる小説で、南米チリの国民的詩人パブロ・ネル…
エルサレム作者:ゴンサロ・M・タヴァレス河出書房新社Amazon5月29日の夜明け前、主人公ミリアは激痛に苦しみながら町を彷徨う。開いている教会を探しているが、時間のせいもあり、中には入れてもらえない。ミリアの元恋人であるエルンストは彼女から電話を受…
海にはワニがいる作者:ファビオ・ジェーダ早川書房Amazon 何年か前に図書館で表紙の絵に惹かれてたまたま手に取った。私にとっては絵本だけじゃなくて一般小説も、表紙の絵によって、まず手に取るかどうかを大きく左右する。もちろんタイトルも気になった。…
アドリブ作者:佐藤 まどか発売日: 2019/10/25メディア: 単行本 主人公のユージは国立音楽院(コンセルヴァトーリオ)に通うイタリア生まれイタリア育ちの日本人。通常の国語や数学などの科目を勉強する後期中等教育校(リチェオ)のほかに、クラッシック音楽…
クララとお日さま作者:カズオ イシグロ発売日: 2021/03/02メディア: Kindle版 2017年にノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロの受賞第一作で、最新の長編となるこの作品。 大きなひまわりと少女が描かれた表紙は穏やかな絵であるにも関わらず、どこか寂しさ…
ピトゥスの動物園作者:サバスティア スリバス発売日: 2006/12/01メディア: 単行本 遅ればせながら、私は最近になってTwitterで知ったこの小説ですが、2006年に出版されて2007年には青少年読書感想文全国コンクール小学校中学年課題図書となっていた本でした…
その時は殺され…作者:ロドリゴ レイローサ発売日: 2000/01/01メディア: 単行本 「恐怖や脅威は、私の小説の主要なテーマのひとつだ。特定の人間に対して感じる恐怖ではなく、見知らぬ環境や状況がもたらす恐怖だ」と帯とあとがきにある通り、よくわからない…
きらめく共和国作者:アンドレス・バルバ発売日: 2020/11/11メディア: Kindle版 たのしそうな印象のタイトルとカラフルでかわいらしい表紙の絵から、YA小説だと思って手に取った。「奇妙な子どもたちは、盗み、襲い、そして32人が、一斉に死んだ。」という帯…
つくられた心 (teens’best selection)作者:まどか, 佐藤発売日: 2019/02/15メディア: 単行本 イタリア語の翻訳も多く手がけている、イタリア在住の作家 佐藤まどかさんのYA(ヤングアダルト)小説。 政府の理想教育としてある学校のクラスに1人、どこからど…
元女子高生、パパになる (文春e-book)作者:杉山 文野発売日: 2020/11/11メディア: Kindle版取材したあとも、それだけで終わるのではなく、その後どうなさっているか気になる人がいる。 私にとってはこの方がそうだった。 杉山文野さん。 フェンシングの元日…
帰れない山 (新潮クレスト・ブックス)作者:コニェッティ,パオロ発売日: 2018/10/31メディア: 単行本 ミラノに住むピエトロは、山好きの両親の下に生まれ、毎年夏になるとグラーナ村で休暇を過ごす。そこで山暮らしの同じ歳のブルーノと仲良くなる。 一人は都…
新選 山のパンセ (岩波文庫)作者:串田 孫一発売日: 1995/06/16メディア: 文庫皆さんは移住を考えたことってありますか? ささげ豆は奈良に住んでかれこれ8年になります。大好きな奈良なんですが、8年の間で一度だけ離島に移住を試みたことがあります。瀬戸内…
『キャンバス』サンティアゴ・パハーレス/訳:木村榮一キャンバス作者:サンティアーゴ ・パハーレス発売日: 2011/12/20メディア: 単行本 木村榮一さんの翻訳とあとがきや解説がすごく好きで、翻訳者さんで読む本を選んでいたときに出会ったこの本『キャンバ…
今日ささげ豆が紹介する作品は、文庫版『動物のお医者さん』6巻。しかも、動物のお医者さんではなく、文庫の最後の解説、「ある風来猫の短い生涯について」です。これは作家の藤原新也さんによる短いエッセーです。 この本文との馴れ初めは、大学入試問題で…
【みんなde読書】の執筆者紹介です。店を開いて早いもので半年が過ぎました。何度か来てくださる人も増え、常連さんと呼ばせてもらいたい方もちらほらとおられ、その中でも慶河堂に足を運んでくださるのが「ささげ豆」さんです。 「三味線ひょっとこ」という…
今回登場してくださるのは、ささげ豆さんです。ささげ豆さんは慶河堂の常連さん。 いつも楽しく本の話をしにきてくださいます。YouTuberでもあります。 ささげ豆さんのご紹介はとあるコミックエッセイです。丁寧な暮らしをする餓鬼 (コミックエッセイ)作者:…
彼女たちの部屋作者:レティシア コロンバニ発売日: 2020/06/18メディア: 単行本作者のレティシア・コロンバニはフランス・パリ生まれの映画監督・脚本も手がける小説家である。映画監督として制作した『愛してる、愛してない…』は日本でも公開された。2017年…
漱石先生 (中公文庫)作者:寺田 寅彦発売日: 2020/07/22メディア: 文庫寺田寅彦は明治から昭和初期にかけて生きた物理学者であり、多くの随筆を残している。また俳人としても知られる。「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉を残した人だと言われている。…
ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)作者:アンドレイ・クルコフ発売日: 2004/09/29メディア: ペーパーバック アンドレイ・クルコフはウクライナの作家である。言語はロシア語。 《夜のキッチン。真っ暗だ。ただの停電だろう。暗闇の中でペンギンのミー…
阿・吽 (11) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)作者:おかざき 真里発売日: 2020/03/12メディア: コミックオススメがマンガなのが店長の偏った趣味を類推させますが、このマンガは普段あまりマンガを読まない人にも是非ともオススメしたいマンガ。特に歴史や宗教…
ありがとうを言えなくて作者:野村 克也発売日: 2019/03/29メディア: 単行本これは2020年2月11日にお亡くなりになった野村克也さん(以後ノムさん)が、妻野村沙知代さん(以後サッチ—)の死について書いたエッセイである。ノムさんは『野村ノート』をはじめ…
カモメに飛ぶことを教えた猫(改版) (白水Uブックス)作者:ルイス・セプルベダ発売日: 2019/03/27メディア: 新書 私は、この本にはとても思い入れがある。初めてこの小説に出合ったのは10年以上も前、イタリア語版だった。一緒に勉強していた友人が旅行に行…
漱石・子規往復書簡集 (岩波文庫)発売日: 2002/10/16メディア: 文庫明治の文豪夏目漱石と俳句や和歌で名を残した正岡子規。それぞれ非常に有名で人気のある作家であるが、この2人が同窓生であり、とても仲のいい友人同士だったということを知っている人はそ…