みんなde読書

慶河堂の読書感想ブログプロジェクト【みんなde読書】のサイトです。

『丁寧な暮らしをする餓鬼』塵芥居士

今回登場してくださるのは、ささげ豆さんです。ささげ豆さんは慶河堂の常連さん。
いつも楽しく本の話をしにきてくださいます。YouTuberでもあります。
ささげ豆さんのご紹介はとあるコミックエッセイです。

丁寧な暮らしをする餓鬼 (コミックエッセイ)

丁寧な暮らしをする餓鬼 (コミックエッセイ)

  • 作者:塵芥居士
  • 発売日: 2020/06/04
  • メディア: Kindle版
私の推し本は『丁寧な暮らしをする餓鬼』です。絵巻物タッチのこの本は、Twitterで話題になり、6月に発売されて即重版が決定した話題作なんです。主人公の「ガッキー」こと餓鬼が、ささやかな日常の中で丁寧な暮らしを営む漫画仕立ての物語です!
ガッキーは地獄絵図を参考に描かれたオリジナルモデルの餓鬼で、ずっと見てると不思議と可愛く思えてきちゃうんです。そもそも餓鬼って、生前に欲深く嫉妬深い生き方をした者が死後に生まれる世界です。ガッキーはそんな「餓鬼道」を生きています。本来は餓鬼道では、食べ物を食べようとすると食べ物が炎に変わって食べられないんです。でもガッキーが自分でせっせと作った丁寧な料理は、お坊様に教えていただいた経文を唱えて食事することができるんです!!
……この餓鬼、女子力がめっちゃ高いんですよ!! そしてやることなすこと、実に仕事が丁寧。例えば、手の乾燥を防ぐためにホホバオイルを塗ってからタオルを畳んだり、もらったシャケで保存食の缶詰作ったり、DIYに精を出したり、火鉢で暖を取りながらお餅焼いたり……。まるで理想の田舎暮らしを実現している女子なんです!          
そして、ガッキー、丁寧な暮らしを営みながら度々流行に乗った生活を見せてる所がまた魅力です。例えば、ネットでサイフォン式コーヒーメーカーポチったり、かと思えばお洒落なミル買ってみたり。更にはコーヒーの自家製焙煎の本で研究してみたり。でも最後はめんどくさくなって、コンビニのコーヒーに落ち着いたり。
そう、ここがガッキーの魅力なんですよ!! 「なんかもう今日は丁寧な暮らし疲れたから、さぼっちゃえ〜!」っていう顔も見せている、そこがすご〜く人間らしくて(餓鬼だけど)等身大の存在なんです。最初の方では「友達いない」って呟いたり、何だかとても「人間味溢れる」キャラクターなんです。餓鬼だけど。
友達がいないガッキーにも、いつしかノマドワーカーの牛鬼と友達になって家で一緒に火鉢囲んで食事会したり、突然猫のマコチャンが住み着いたり。ガッキーの魅力もさることながら、他にも魅力的なキャラが一杯です。
ついでに、中に挟まれているガキにまつわるお坊さんの解説も本格的でいいんですよ。
最後に……私事で恐縮ですが、この本を読んでたら、「丁寧な暮らし」に憧れて休みのたびに瀬戸内の島で、島暮らしを試みていた日々を思い出します。友だちとシェアハウスの畑で作ったものを調理したり、農家さんや猟師さんにいつも美味しい果物や猪肉を頂いたり、柑橘で作ったジャムを島の人たちに配って、物々交換して、わらしべ長者になったり。
私はそんな島暮らしに憧れて、一度、奈良から島移住を試みて関西での仕事をすっぱりやめて、1年間就活してました。結局、島の仕事の最終面接で落ちてしまって、移住は叶いませんでした。今の仕事が決まってからは島への移住は夢のまた夢となりました。でも、この「丁寧な暮らしをする餓鬼」を読んでたら、あの頃の生活を思い出しますー。
YouTubeで動画もアップしています!良かったらご覧くださいね!
youtu.be