みんなde読書

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2021-01-01から1年間の記事一覧

『おばあちゃん、青い自転車で世界に出逢う』ガブリ・ローデナス/訳:宮﨑真紀

おばあちゃん、青い自転車で世界に出逢う作者:ガブリ・ローデナス小学館Amazon 冒頭、こうはじめる。 『幸せな子供時代を過ごし、これといってトラウマもなければ、さいわい重い病にもかかったこともなく、なに不自由のない人生だったと思うのに、ときどきふ…

『光草 ストラリスコ』ロベルト・ピウミーニ/訳:長野 徹

光草(ストラリスコ) (Y.A.Books)作者:ロベルト ピウミーニ小峰書店Amazon今回紹介する本も児童文学作品ではあるけれど、私自身も何度も読んでいるお気に入りの小説で、とても想像力をかき立てられる物語なのです。文中、現代では不適切な表現が出てくるとこ…

愛するあなたの足跡を追ってーー『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』ミア・カンキマキ

清少納言を求めて、フィンランドから京都へ作者:ミア・カンキマキ草思社Amazonこの本はタイトル通り、一人のフィンランド女性が平安時代の女性作家である清少納言の足跡をたどるために日本にやってきて過ごした日々のエッセイである。 今風のラノベのタイト…

『夢見る人』パム・ムニョス・ライアン/絵:ピーター・シス/訳:原田 勝

夢見る人作者:ライアン,パム・ムニョス岩波書店Amazon ラテンアメリカの文化を伝えるすぐれた児童書に贈られるプーラ・ベルプレ賞を受賞(2011年)した本作品は、メキシコ系アメリカ人パム・ムニョス・ライアンによる小説で、南米チリの国民的詩人パブロ・ネル…

私が殺しましたーー『エルサレム』ゴンサロ・M・タヴァレス

エルサレム作者:ゴンサロ・M・タヴァレス河出書房新社Amazon5月29日の夜明け前、主人公ミリアは激痛に苦しみながら町を彷徨う。開いている教会を探しているが、時間のせいもあり、中には入れてもらえない。ミリアの元恋人であるエルンストは彼女から電話を受…

『海にはワニがいる』ファビオ・ジェーダ/訳:飯田亮介

海にはワニがいる作者:ファビオ・ジェーダ早川書房Amazon 何年か前に図書館で表紙の絵に惹かれてたまたま手に取った。私にとっては絵本だけじゃなくて一般小説も、表紙の絵によって、まず手に取るかどうかを大きく左右する。もちろんタイトルも気になった。…

『アドリブ』佐藤まどか

アドリブ作者:佐藤 まどか発売日: 2019/10/25メディア: 単行本 主人公のユージは国立音楽院(コンセルヴァトーリオ)に通うイタリア生まれイタリア育ちの日本人。通常の国語や数学などの科目を勉強する後期中等教育校(リチェオ)のほかに、クラッシック音楽…

私は貴女を待っていた——『クララとお日さま』カズオ・イシグロ

クララとお日さま作者:カズオ イシグロ発売日: 2021/03/02メディア: Kindle版 2017年にノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロの受賞第一作で、最新の長編となるこの作品。 大きなひまわりと少女が描かれた表紙は穏やかな絵であるにも関わらず、どこか寂しさ…

『ピトゥスの動物園』サバスティア・スリバス/訳:宇野和美・絵:スギヤマカナヨ

ピトゥスの動物園作者:サバスティア スリバス発売日: 2006/12/01メディア: 単行本 遅ればせながら、私は最近になってTwitterで知ったこの小説ですが、2006年に出版されて2007年には青少年読書感想文全国コンクール小学校中学年課題図書となっていた本でした…

『その時は殺され…』ロドリゴ・レイローサ/訳:杉山晃

その時は殺され…作者:ロドリゴ レイローサ発売日: 2000/01/01メディア: 単行本 「恐怖や脅威は、私の小説の主要なテーマのひとつだ。特定の人間に対して感じる恐怖ではなく、見知らぬ環境や状況がもたらす恐怖だ」と帯とあとがきにある通り、よくわからない…