みんなde読書

慶河堂の読書感想ブログプロジェクト【みんなde読書】のサイトです。

アントニオ・スカルメタ『ペドロの作文』

チリの軍事独裁政権という、日本の子供たちにとってはなかなか理解が難しいテーマの絵本なのですが、主人公のペドロもそれがどういうことなのかわかっていません。 ペドロの両親は、夜になるとラジオを聞いていますが、なぜガーガーと聞こえにくいのに熱心にきくのだろう?とペドロには理解できません。
ある日サッカーをしていると、友達ダニエルのパパが、軍人に連れていかれていくのを目にします。そうして自分たちの日常に何かが起こってきていること、不安が広がっているのを肌で感じていきます。聞きかじった言葉を使い「独裁に反対って、どういうこと?」と聞きますが、パパもママも詳しく説明はしてくれません。
翌日、学校に軍人の大尉がやってきて、子供たちに「我が家の夜の過ごし方」という題名で作文を書かせます。
「いちばんうまく書けた者には、将軍がじきじきに、国旗の色のリボンをかけた金メダルをくださる」と言いました。なんと書いたらいいのか、なかなか書き始めたれないペドロと友達のフワン。いよいよ書くことを決め、ペドロはフワンに言いました。「もし、ぼくがメダルをとったら、それを売っぱらって、5号の皮のサッカーボールを買うからね」
さて、ペドロはなんと書くのでしょうか?


作者はチリのアントニオ・スカルメタ。児童文学者ではなく一般の作家で、日本でも人気となった映画「イル・ポスティーノ」(1994年/日本では1996年)の原作者です。映画はイタリア映画でしたが、原作はスペイン語です。
*《ペドロの作文》現在入手困難。図書館などで読むことができます。